シリコーンゴム接着試験
難接着の特性を持ったシリコンゴムの接着試験結果を公開します。
シリコンゴムを接着しようとして、なかなか接着できずに困った事はないでしょうか?それもそのはずシリコンゴムは接着しづらい特性をもっています。その特性を活かして、シリコンゴムのメモ帳などアイデア商品が販売されています。このように難接着の利点はあるものの、では接着しようと思ったときにこの特性は非常にやっかいです。
しかし最近では接着剤メーカーからシリコンゴムの接着を可能にした接着剤が色々と販売されております。先ずはこれらの接着強度試験を実施し、数値化してみたいと思います。
また、ゴム成型メーカーや加工メーカーが利用する接着方法も一挙公開させて頂きますので、シリコンゴム製品の設計に是非お役立てください。
なお、試験結果は試験サンプル数が少ないため、あくまでも参考程度にとどめてください。シリコンゴム材料も多岐にわたり存在し、全ての材料を試験するのは不可能です。実際に接着工程を思案している場合は、当該試験結果を参考にしつつ、実際に予定しているシリコンゴム材料にて試験を実施のうえ評価をお願いします。
試験で使用するシリコンゴム自体の引張強度試験
先ずは試験で利用するシリコンゴム自体の引張強度試験結果です。
接着強度試験をいきなり実施しても、もともとのシリコンゴム自体の強度が解らないと結果の数値が怪しいものになってしまいますので、まずは試験で利用するシリコンゴム自体の強度を測定してみました。
●試験条件
■使用材料
・シリコンゴム エコノミー(一般)材料 70度 原色(灰白色)
・シリコンゴム エコノミー(一般)材料 70度 原色(乳白色)
※シリコンゴムは全て2次加硫済(200℃2時間)
■試験片
・両サイド丸管付Φ2.0丸紐
■試験方法
・試験機にデジタル天秤20kgを固定し、丸管部にS字フックを引っ掛けてゴムが切れるまで引張る。ゴムが切れた時点の引張強度を測定。
●試験結果
<シリコンゴム エコノミー(一般)材料 70度 原色(灰白色)>
●1回目/2.380kg ●2回目/2.600kg ●3回目/2.540kg ● 3回平均/2.507kg
<シリコンゴム エコノミー(一般)材料 70度 原色(乳白色)>
●1回目/2.910kg ●2回目/2.890kg ●3回目/3.150kg ● 3回平均/2.983kg
シリコンゴムに市販の接着剤 その1 セメダインPPX
こちらはセメダインから販売されているシリコンゴムでも接着可能な強力瞬間接着剤PPXです。
梱包は2つの接着剤があるように見えますが、1つは接着剤で1つは下地処理剤です。接着面を綺麗に洗浄したのち、下地処理剤を接着面に塗布のうえ接着剤を使用し接着するタイプです。
●試験条件
■使用材料
・シリコンゴム エコノミー(一般)材料 70度 原色(乳白色)
※シリコンゴムは全て2次加硫済(200℃2時間)
■試験片
・両サイド丸管付Φ2.0丸紐
■試験方法
・試験片を中央で切断したうえで、接着剤を塗布し接着。室温(20℃)にて24時間放置したのち、試験機にて引張試験を実施。
●試験結果
<シリコンゴム エコノミー(一般)材料 70度 原色(乳白色)>
●1回目/1.220kg ●2回目/1.450kg ● 3回目/1.400kg
シリコンゴムに市販の接着剤 その2 ボンドMOS8
こちらはボンドから販売されているプラスチック・ゴム用のMOS8です。シリコンゴムでも接着可能な強力接着剤です。
接着剤はA剤とB剤の2液となり、接着作業時に接着する量だけ混合し接着面に塗布します。下地処理剤はありませんが、ゴム接着面はヤスリなどで表面を荒らすように説明書きがありますので、それに従って作業します。
●試験条件
■使用材料
・シリコンゴム エコノミー(一般)材料 70度 原色(乳白色)
※シリコンゴムは全て2次加硫済(200℃2時間)
■試験片
・両サイド丸管付Φ2.0丸紐
■試験方法
・試験片を中央で切断したうえで、接着剤を塗布し接着。室温(20℃)にて24時間放置したのち、試験機にて引張試験を実施。
●試験結果
<シリコンゴム エコノミー(一般)材料 70度 原色(乳白色)>
●1回目/0.370kg ●2回目/0.180kg ● 3回目/0.320kg
シリコンゴムに市販の接着剤 その3 スコッチプレミアムゴールドスーパー多用途2
スコッチから販売されているシリコンゴムに使える接着剤です。この接着剤の特徴として硬化接着後に接着剤は黒色のゴム状となります。
接着剤は1液タイプで専用の下地処理剤の塗布もありませんが、接着面の油分や水分を綺麗に除去しておくように記載がありますので、準じて接着面を洗浄のうえ接着させます。
●試験条件
■使用材料
・シリコンゴム エコノミー(一般)材料 70度 原色(乳白色)
※シリコンゴムは全て2次加硫済(200℃2時間)
■試験片
・両サイド丸管付Φ2.0丸紐
■試験方法
・試験片を中央で切断したうえで、接着剤を塗布し接着。室温(20℃)にて24時間放置したのち、試験機にて引張試験を実施。
●試験結果
<シリコンゴム エコノミー(一般)材料 70度 原色(乳白色)>
●1回目/0.350kg ●2回目/0.230kg