第1回 ゴムの起源
天然ゴムという材質が人類の歴史に登場するのは3000年も昔にさかのぼることが、近年の研究にて判明してきました。メキシコと中央アメリカの広範囲にわたり繁栄した古代文明では、様々な道具に天然ゴムを利用していたようです。
※詳細はナショナルジオグラフィックにて →→→ メソアメリカ文明の高度なゴム製造技術
古代文明とゴムの話は別として、現代までつながるゴムが歴史上に登場するのは、「ゆで卵」で有名なコロンブスです。そうです、大航海時代に活躍したかのコロンブスです。コロンブスが航海の1493年に出発した航海の途中、プエルトリコとジャマイカに上陸し現地の住民が遊び道具として使用していたゴムを目撃したのが文明社会がゴムと接した最初になります。
コロンブスが見つけたゴムすなわち天然ゴムですが、発見から200年あまりは利用されてなく一部の研究対象でしかなかったようです。
初期のころのゴム
コロンブスが持ち帰ったゴムですが、利用するにはかなり難しかったようです。そもそもどんな物質なのか、どのように加工できるのか全く分からなかったのですから。そんな中フランスの研究者であるマッケとエリッサンがテレピン油とエーテルに溶解することを発見すると、しだいにゴムが利用されるようになりました。
イギリス人のマッキントッシュは溶解したゴムを利用してレインコートを作り、ジョセフ・プリーストーリーは1770年頃に字を消す道具としてゴムが有用であると発見しました。消しゴムは非常に高価なものでしたがイギリスやフランスで売られるようになります。またこの頃から英語でゴムの事をこすって消す(rub out)と言う意味でラバー(rubber)と呼ばれるようになりました。
グットイヤーにおける世紀の大発見
グットイヤーは今では誰でもしっているアメリカの大手タイヤメーカーですが、社名の由来ともなっている、アメリカの発明家チャールズ・グットイヤー(1800年~1860年)がゴムに硫黄を添加し加熱する事で、ゴムに耐熱性を持った弾性体が生まれる事を発見し、それまでの物性として欠点の多かった「ゴム」を今日でも多く利用される「ゴム」の基礎を作りました。
様々なゴム材料の開発
現在ではゴム素材メーカーが様々な高機能ゴムを開発し市場にて販売されています。天然ゴムの物性的安定度を合成したイソプレンゴムや耐油性を持たせたニトリルゴム、屋外で使用しても紫外線劣化の少ないエチレンプロピレンゴム、またそれらのゴムに添加する添加剤を加えると、ゴムの種類は数え切れない程の種類があり私達の生活を豊かにしてくれています。